2016.01.15  唾液の働き

  • 赤ちゃんテレビなどで動物の出産シーンを見たことはありませんか。母親は生まれたばかりの赤ちゃんの体をぺろぺろなめていますよね。
    唾液には殺菌して感染を予防したり、傷の治りを早めるという働きがあります。動物たちは本能的にこのことをわかっていて、抵抗力のない赤ちゃんの体を守っているのです。

    この他にも、唾液の中には私たちの体を守るいろいろな物質が溶け込んでいるようです。

  • 唾液はどこから出てくるの?
    唾液は血液をもとに作られていて、口の中の左右両側に一対ずつある3種類の唾液腺から主に分泌されています。
    大人では1日当たり1~1.5リットル分泌されると言われていて、これは健康な人が1日に出す尿の量とほぼ同じです。

    ①耳下腺(じかせん)
    最も大きい腺で、頬の皮膚のすぐ下で、顎の後ろから耳の下あたりまであります。
    ここから出る唾液はサラサラとして水に近いような感じです。
    唾液腺

    ②顎下腺(がっかせん)
    耳下腺の半分ぐらいの大きさで、下あごの骨の内側にあります。
    ここから出る唾液はサラサラとネバネバの中間くらいの状態です。

    ③舌下腺(ぜっかせん)
    この3つの唾液腺の中では最も小さく、舌の裏側の付け根部分にあります。
    ここから出る唾液は糸を引くようなネバネバした感じのものです。

  • 唾液の働き

    唾液の働き

  • ストレスと唾液の関係
    緊張してドキドキしたりすると、口の中が乾いて食事が喉を通らなくなることはありませんか? 
    唾液腺は、自律神経に支配されています。自律神経は交感神経と副交感神経によってコントロールされていて、交感神経が作用すると、ストレス状態になり呼吸や脈拍は早くなります。そして耳下腺からのサラサラ唾液が分泌されなくなります。その為に口の中が乾いてネバネバしてしまうのです。
    反対にリラックスしてくつろいでいる時には副交感神経が作用します。心拍が抑えられ、呼吸もゆっくりと静かです。この時は耳下腺からのサラサラ唾液の分泌量も豊富になります。

    不安感を持ちやすい子供は、精神的に安定した子供より虫歯が多いとの調査結果もあるそうです。歯の健康を保つためにも、不安や過剰なストレスを抱え込まないようにしたいですね。

  • 赤ちゃんとよだれ
    ママびっくり!赤ちゃんがはいはいして活発に動き回るようになると、手に触れるものを手当たり次第に口に持っていくようになります。
    お母さんにとっては赤ちゃんから最も目が離せない時期ですが、その頃から急激によだれの量が増えたと感じるお母さんも多いのではないでしょうか。これは生後7ヶ月前後で唾液の分泌量が増えてくるというだけでなく、唾液を飲み込むという動作自体がまだ未発達だからなのですが、じつは抵抗力の弱い赤ちゃんの体を守る最前線の重要な役割があるのです。
    大量に流れ出るよだれが、ホコリを始めとする有害物質を流し去り、粘液はインフルエンザウイルスなどを包み込み、喉の細胞に感染するのを防いでくれます。
    そして唾液の中には、母親からもらい受けた多くのウイルスや細菌に対する分泌型の免疫抗体を含んでいるのです。
  • 近年、唾液の作用でさらに注目される研究結果が発表されました。食品添加物などに多く含まれている発ガン性のある物質を唾液に30秒間つけると、その発ガン率が10分の1になるというのです。
    ファストフードで早食い、加工食品や柔らかい食べやすいものばかりを食べ、お茶やジュースで流し込むように食事している忙しい現代人の皆さん!! ゆっくりゆっくりとよく噛んで味わい、おしゃべりをしながら食事を楽しんでみましょう。

    それだけで虫歯予防!ガン予防! 私たち人間の体にはこんなに素晴らしい機能がもともと備わっているのですから。