2019.03.01 体内時計

  • 体内時計私たちの体には、本来夜暗くなると眠くなり、朝になると目が覚める、睡眠と覚醒のリズムが備わっています。
    これが「体内時計」として最もよく知られている約1日周期の『概日リズム』(サーカディアンリズム)です。
    この体内時計が刻むリズムを「生体リズム」といい、私たちの体調や気分、活動をコントロールしています。
     
    あなたは毎日、決まった時間に就寝、起床していますか? 
    シフトワークや受験勉強、ネットゲームなどで、夜型の生活を送っている人も多いのではないでしょうか。現代社会では、生体リズムに合わせた規則正しい生活を送ることが難しくなっているのかもしれません。
     
    生体リズムが乱れるとどうなってしまうのでしょうか。
  • 体内時計とは
     
     
    ヒトの体は約60兆個の細胞から成りますが、生殖細胞を除くすべての細胞に体内時計が存在していると考えられています。
    そして脳の視床下部にある視交叉上核に存在する時計遺伝子(中枢時計)が親時計として、全身の時計遺伝子(末梢時計)を同調させながら時を刻んでいます。
     
    体内時計には一定の周期があり、自律神経の働きを調節するという大きな役割を担っています。
    体内時計の周期
  • 生体リズムを守る3つの要素
     
     
    生活習慣病など多くの疾患が、生体リズムの乱れと関係していることが明らかになっています。
    生体リズムが乱れると不眠になり、不眠が原因で不登校になったり、うつ病になったりします。また老化の進行、生活習慣病やガン発症のリスクを高めます。
    体内時計のズレを調整し、生体リズムを整えるための3つの要素に注目します。朝日で体内時計をリセット
     
    ①カギとなる「光」の効果・・・
    朝の太陽光を浴びることで、体内時計をリセットさせることができます。私たちが持つサーカディアンリズムは24時間よりわずかに長いため、朝の陽ざしを浴びることで時間のズレを戻します。
     
    ②眠りを誘うホルモン「メラトニン」・・・メラトニン効果で自然な眠り
    目に入る光の量が減ると松果体から分泌され、自然な眠りへと導きます。
    またメラトニンには、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促し、病気の予防や老化防止の効果もあると考えられています。
     
    ③決まった時間にしっかり朝食を・・・
    毎日きちんと朝食を摂ることで、起床時間になると自然に消化管の活動が高まり、体温も上昇してきます(腹時計)。
    この『腹時計』は体内時計をも上回る影響力を持っているとも言われるほどで、海外での時差ボケで体内時計が乱れたときでも、朝食をしっかり摂ることで生体リズムを調整してくれます。
  • 交替勤務で働く人に多い症状
     
     
    交通、医療、通信、娯楽、警備など、コンビニはもちろん、24時間営業の店舗が増加している現代では、当然のことながら交替勤務で働く人も増加しています。24時間営業のお店
    人間の体は日中活動するようにできていて、夜ほど長くは眠れないようになっているため、交替勤務で働くことは慢性的な睡眠不足を引き起こします。また胃腸トラブルや心臓発作のリスクも高まります。 
     
    女性では、日勤で働く人に比べて、生理不順、流産や早産、妊娠中毒症にかかる人や低体重児出産も多いということがわかっています。
  • 注目の『時間治療』
     
     
    体内時計の周期が解明されてきたことで、人間の生体リズムと病気の関係も明らかになってきました。
     
    ★ 正しい薬を正しい時間に服用することで、薬の効果を高め、不要な副作用を抑えることができる
    ★ 病気の兆候や特有の症状が出やすい時期・時間帯を調べることで、疾病を判断することができる
    ★ 太陽光線に似た光(2500ルクス以上)を照射して体内時計を調整することで、薬を使わず症状を改善することができる
      など。
     
    『時間治療』とは、病気に対して「最適な時間」を見つけることで効果的に治療をおこなう、新しい治療法です。